架設地の選定

森を分断する道路のどの地点にアニマルパスウェイを設置するのか決定するのは、最も重要な工程です。
設置後のアニマルパスウェイを動物に確実に利用してもらうために、沿線の森で事前調査を重ね、慎重に検討する必要があります。

植生調査

沿線の森の植生(植物の種類やその分布)を調べます。対象となる動物が利用する植物がわかっていれば、設置の候補地を絞り込むことができます。

ニホンヤマネ保護研究グループでは、長年の研究を通じて植物の専門家と協働でヤマネの生存に必要な樹種を明らかにしてきました。食餌(花・樹皮、果実など)・営巣・移動などの用途に応じて様々な植物を使い分けていることを把握しており、調査地の選定や設置後のパスウェイへの誘導にもその成果を役立てています。

樹上動物が利用する植物の例

  • 食料となる種子や木の実 ... クルミ・ドングリ・松ぼっくりなど
  • 食料となる果実 ... アケビ・ヤマブドウなど
  • 移動や営巣に使う樹木 ... カラマツ・アカマツなどの針葉樹 等
ミズナラのどんぐりヤマブドウの実

動物の生態調査

設置の候補地で野生動物の生態調査を行い、現在の利用状況を確認します。食痕や自然巣の有無を調べたり、巣箱を設置しその利用状況について定期的に調査を重ねました。

道路に落ちていた食痕自然巣

今後の課題

北杜市のアニマルパスウェイは、ニホンヤマネ保護研究グループの調査地に近く、架設地の選定はスムーズに行われました。
今後、日本や世界各地に普及するにあたり、以下のような課題が挙げられます。

  • 調査及び評価方法の規格マニュアル化
  • 現地の研究者や市民グループへのサポートや連携方法の確立
  • 地権者の理解を得るための働きかけ
  • 国立公園などへの働きかけ

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